~ プロローグ ~
今回訪れたお店は、那須塩原市の「小さな洋食屋さん フランシーズナチュール」さん。
「もともとは宇都宮の鶴田にあった人気店で4年前に移転したらしいですよ」と、同行のS記者。それを聞いて思い出しました。さかのぼること数年前。フランシーズナチュールさんの宇都宮時代にその人気ぶりを聞きつけた私は、ランチの時間帯に2回ほど訪れたことがあったのです。
・・・が、その2回ともに満席。泣く泣く帰ってきたという思い出のお店。
あのお店が、なぜ那須塩原に?
木立とアンティークたちに囲まれてフランシーズ・ナチュール
西那須野塩原ICを降りてすぐの国道400号を大田原方面へ左折。一つ目の大きな交差点(上赤田)をもう一度左折します。そのまま道なりに3㎞程進み、右側にファミリーマートがある交差点(井口)を超えてすぐの井口工業団地の向かいにあります。
林の中からかわいらしい看板がひょっこり顔を出すように建っているので、すぐ見つけられると思います。
「これこれ、この看板!」宇都宮で見たあの看板です。
木々の間をすり抜けるように駐車場へと進んだ先には、クリーム色の壁に青い屋根のお店が見えてきます。
そのたたずまいはまるで童話の世界そのもの。扉をあけると“コック服のくまさん”が迎えてくれそうです。
枕木で仕切られた駐車場は店の前に2台。林の中の駐車場と合わせると12台分あります。
「こんにちは~」
白い扉を開けて中へ入るとセンスあふれるアンティーク家具に迎えられます。
「かわい~」
女性なら思わずこんな声が漏れてしまうはず。
よく見るとデザインがまちまちな椅子とテーブル。
年代物の足踏みミシンに手回しミシン。天井から吊るされたシェードランプ。
水道の蛇口にだってこだわりを感じます。
背の高い扇風機はいまだ現役で、大きな音をたてて羽根を回すそうです。
ここにあるひとつひとつが、ゆったりくつろげる空間作りに一役かっています。
「いらっしゃいませ」
そう言って出てきたのは、「コック服を着たくまさん」
ではなく、オーナーシェフの藤田繁雄さん。
それに奥様の香織さん。
「素敵なお店ですね。インテリアは奥様の趣味なんですか?」
「主人と私二人ともアンティーク家具が好きなんです。
お店を始める前から集めていて、それから少しずつ増えていって」
なにげなく飾られたような一輪ざしにも奥様のセンスが光ります。
「お花は毎日家のまわりに咲いているものを摘んできて
私が活けるんです。だから、お花代はただなんですよ(笑)」
そうそう、お店で使われているお皿や箸置きも
これまた「かわい~」のですが、すべて奥様の手作り。
「お店をはじめてどのくらいですか?」
「宇都宮でやっていた時代から数えると22年になります。」
「そんなに長く?!」
驚きました。お二人ともとても若々しいので。
「店名のフランシーズナチュールというのはどういう意味なんですか?」
足踏みミシンに見入っていた撮影担当のS記者が切り出しました。
「フランス語でフランシーズ(franchise)は自由、ナチュール(nature)は自然という意味なんです。ただ好きな言葉を並べただけの造語です」
そう言って笑う奥様の笑顔は「nature」そのもの。
看板に偽りなしです^^
和豚もちぶた100%のハンバーグを「黒胡椒と生姜のソース」で
今日ご用意していただいたメニューは『和豚もちぶたのソテー香草バターソース』と『黒胡椒と生姜のソースハンバーグ』の2品。
2時~15時のランチタイムには毎回数種類のメニューが用意されています。
なんと定休日の月曜日以外、毎日ランチ営業されているそうです。土日もランチがいただけるというのは貴重なお店ですね。
この日のBランチ、和豚もちぶた100%の「黒胡椒と生姜のソースハンバーグ」からいただくことにしました。
合挽きや牛100%のハンバーグは数多く存在しますが、豚100%のハンバーグはあまり聞いたことがありません。
ましてやそれが和豚もちぶたとあれば、どう考えても美味しいはず。いや、美味しいに決まってます!
肉のうま味をたっぷり閉じ込めてプックリと膨らんだ200gのハンバーグは、見るからにやわらかそう。黒胡椒と生姜のソースもたっぷりで、散らしたアサツキの緑もキレイです。
真ん中から一刀両断!
吸い込まれるようにナイフが入っていきます。
ひと口食べると口の中でホロホロと肉がほどけ、歯がいらない程のやわらかさです。スパイシーなソースの奥にほんのりと和豚もちぶたがもつ上品な肉のうま味が薫ります。
「美味し~!!ご飯が欲しくなりますね。」
このまま一気にソテーもいただきたいところですが、このへんで、“ご主人と奥様の出会い”
・・・ではなく、“和豚もちぶたとの出会い”について伺うことにしました。
「どうして和豚もちぶたを使うようになったのですか?」
「最初は関口肉店の営業の方がお店に来られたんです。
どうしようか悩んでいる時に、知り合いのお店で食べた和豚もちぶたがとても美味しくて。」
よくよくお話を伺うと、この“知り合いのお店”というのは、
今年の6月に伺った宇都宮市の人気店「レストラン フィールド」さんのことでした。
「マスターの焼いたポークジンジャ―がすっごく美味しくて、うちも和豚もちぶたを使うことに決めたんです。」
あのポークジンジャ―が決め手になったというのは驚きと共に納得の瞬間でした。
つづいて、店一番の人気メニュー「和豚もちぶたのソテー香草バターソース」もいただきます。
かぐわしい香草バターソースでいただく和豚もちぶた・ロースのソテー
「わぁ大きい?!」
まずは、そのビジュアルに圧倒されます。
女性の手のひら位はあるでしょうか。そして大きさもさることながら、厚みもたっぷり。
お客様に同時に提供できるよう、ハンバーグと焼きあがり時間を同じ位にするためにこの厚さになったそうです。
「こんなに大きくて厚いお肉、皆さん完食されるんですか?」
「はい。うちは女性や年配のお客様が多いのですが、ほとんどの方がペロリと完食されますよ。和豚もちぶたは脂身もしつこくないので最後までさっぱりといただけるんです」
ソテーに使用している部位は本ロース200g。ソースには、たっぷりのニンニクとパセリ、ハーブ、そして細かく刻んだアーモンドが入っています。調理していただいている時からプーンと香るニンニクの美味しそうな匂いに嗅覚を刺激されていました。
「お肉は豚が一番好きなんですよ~!なかでも脂身が大好物で・・・」
などと、ソテーの厚みに負けない脂身への熱い思いを語りながら、ナイフを投入。
その断面は、キメ細かく、外側から真ん中にいくほどうっすらさくら色に。
少し大きめにカットした脂身たっぷりの部分をパクリ。
ニンニクとバターの中に和豚もちぶたの甘さが控えめながらもひょっこりと顔をだします。
厚みがあるにも関わらず、肉の歯切れのいいこと。
脂身はさっぱり。あっという間に口の中で溶けていきます。
これなら“女性でもペロリ”に納得です。
この日の肉料理に添えられていたのは、ブロッコリー、クレソンの他、
マッシュポテトとニンジンのソテー。
野菜の甘みを生かした上品な味付けが主役のお肉を引き立てます。
「やっぱりご飯が欲しくなりますね。ビールとの相性もよさそう。白ワインもいいけど・・・いや、赤ワインもいいなぁ~」
ついつい、のんべえが顔を出してしまいました。
S記者の冷ややかな視線が刺さります。
・・・はい、お仕事ですね、お仕事・・・(汗)
「和豚もちぶたを調理する時にこだわっていることはありますか?」
「ソテーは特に気を使っているかな。低温でローストポークを焼くような感じでゆっくりじっくり焼くんです。」
「今後和豚もちぶたのメニューが増える可能性はありますか?」
「そうですね。牛肉と違って和豚もちぶたは後味がすっきりしているからどんなソースにも合うんです。
だからソースはもっとバリエーションが増えるかもしれません」
終始穏やかなご主人の笑顔に、料理への情熱が垣間見える瞬間でした。
西日の差すテーブルには綺麗に平らげたお皿が・・・。
本日も完食!「ごちそうさまでした!」
お腹はいっぱい、未練も解消。満足度100%で宇都宮へ帰るのでした。
おまけ
今回取材した『フランシーズナチュール』さんの近所には、車で15分圏内に沢山のレジャースポットがあります。
『千本松牧場』に『那須ガーデンアウトレット』。
『ピラミス温泉』や、『大鷹の湯』といった温泉施設も充実しています。
この週末には、行楽がてら那須塩原へ。
そしてぜひお腹がすいたら『フランシーズナチュール』へ♪
安心してください。土日もランチ、食べられますから^^