~ プロローグ ~
今月も記者Oさんから指令が届きました。
「今回は有名店ですよ」
「はあ」
「某TVの珍○景にも出たことのあるお店に行きます。宝積寺です」
「はあ」
「お肉屋さんでギターも売ってる」
「はいっ! 知ってます! 行ったことあります!」
和豚もちぶたグルメリポート8回目は、「ミートショップこしみず」さんからお届けします。
宝積寺駅前 ここが噂の「お肉&ギターのお店」
・・・宝積寺の駅って、こんなだったっけ?
なんか蔵みたいなのが建ってますけど。
昔来た時はこんなのなかったなあ・・・いつできたんだろう。
方向音痴の記者T、案の定出口を間違えていました。ここは東口。
こしみずさんは西口。
でも電車の時間の都合でちょっと時間があったので、ついでに見てみます。
あてにならない記者Tの記憶も、たまには合ってることもあるようで、
駅と広場は確かに平成19年に新しくなっていました。
アートデザインは建築家の隅研吾氏だそうです。
広場の名前は「ちょっ蔵広場」。
建物は、もともと駅前にあった米蔵を解体したときに出た大谷石を再利用して造られているそうです。
駅に近い方が食堂やお土産売り場、向かいの蔵がライブなどができるホールで、
取材当日は平日午後でしたが、バンド演奏が聞こえていました。
気を取り直して西口へ。
さかのぼること十数年前。JR宝積寺駅から歩いてすぐだったことまでは覚えていました。
駅から1~2分で「ミートショップこしみず」さんを発見。
お店の外観からして「MEAT&GUITAR」!
前からこんな感じだったかなあ…覚えてないなあ…
記憶も心もすっかり初訪問に戻ってお送りします。
記者Oさんと合流して店内へ。
一歩入ってまたびっくり!
入ってすぐに懐かしい中古レコードの箱が。
「小椋佳だ!太田裕美だ!加山雄三だ!」
記者T、ミーハー大爆発で大騒ぎです。
壁にはギターがびっしり。
壁をぶち抜いて、隣の部屋までギターコーナーになっています。
あまりの数に圧倒されていると、店主の小清水邦治さんが、肉より先にギターの説明をしてくれました。
「これは西岡徳馬さんのサインが入ってるんですよ」
俳優さんのサイン入りギター!? すごい!
舞い上がってる記者Tを、Oさんが地上に呼び戻してくれました。
「Tさん、今日は和豚もちぶたの取材ですからね。まずは肉!」
おっと! 忘れるところでした。
あぶないあぶない(←記者Tが)。
「ひと」に歴史あり。地元密着のお肉屋さん
店主の邦治さんは二代目。昭和30年代後半にお父様が創業され、その後邦治さんが店を継がれて約30年になるとか。
「うちはずっと関口肉店さんとお付き合いがあるんです。そのご縁で、関口肉店さんで骨抜きの仕事をしてました。うちを継いだのはそれからでね」
以前は飲食店向けの卸もしていましたが、ピークの時間帯が重なるので、今はお店での販売のみに絞っているそうです。
ときには先代の奥様(お母様)もお店に出ていらっしゃいます。元看護士さんだったとか。
「主人と撮った写真なんです。ほんとうに優しい人でねえ」
お母様かわいい! ご主人も物静かで知的な印象の二枚目! 詩人か文学青年のようです。吉永小百合でも出ていそうな映画のワンシーンのよう。なんて素敵・・・
「主人が身体を壊してお勤めができなくなったから、店を始めることにしたの。妹の嫁ぎ先がお肉屋さんだったのもあって『お肉屋さん、いいね』って。私と主人でそこへ手伝いに行って、いろいろ教わってからここで店を始めたの」
お母様は昭和4年生まれで、戦争を経験された世代。苦しい食糧事情を知っているからこそ、「お店をやるなら食べ物屋さん」と思われたのでしょうね。
ギターに目を奪われて見落としがちですが、店内には野菜や卵がごろごろ置かれています。
「Oさん、この卵、氏家産って書いてありますよ」
「こちらのキャベツも栃木県産ですね」
「この近くで作ってる野菜や卵を置いてるんですよ。うちのお惣菜にも使ってます」
地場産の旬の野菜は、味も栄養も抜群です。これと和豚もちぶたを使ったお惣菜となれば、さぞやおいしいはず!
「お惣菜、試食させていただけますか?」
「あ~、メンチが終わっちゃってねえ」
こしみずさんの1番人気のメンチ・・・。
「うちのピークはお昼と夕方だから、それに合わせて揚げてるんです。大体数も読めるしね」
お得意様が多い、街のお肉屋さんならではです。
「ライブの差し入れなんかで、1度に50個なんてこともあるんですけど。
コロッケをパンにはさんでコロッケサンドにして、ライブのフードにしたりね」
すごい。音楽と肉が密着してます。
「他にもいろいろありますから、食べてってください。
せっかくなので、おもしろいの揚げますから」
夢の盛り合わせ!お肉屋さんのお惣菜を食す
そして、こしみずさんのお惣菜盛り合わせがどどんと登場!すごいボリュームです。
「ミートボール、コロッケ、串カツと、」
さらに後から追加がきました!
「これ食べてみてください。揚げハンバーグです」
「揚げハンバーグ!?」
聞くのも初めてなら、見るのも食べるのも初めてです。
粗引き和豚もちぶたに、地場産玉ねぎがたっぷり。
「いただきま~す!」
勢いよくかぶりついた記者Tが一瞬固まりました。
「カレーハンバーグですか!?」
「違います」
恥ずかしい~!
「ナツメグとか黒コショウとか、スパイスはかなり入ってます」
だからこんなにスパイシーなんですね。
「味がついてますけど、デミグラスソースじゃないですね」
「いわゆる和風ハンバーグなんです。野菜のソースです」
和風ハンバーグというとおろしポン酢のイメージですが、にんじんや玉ねぎなどの地場産野菜をたっぷり使った野菜ソースは、濃くて甘みがあり、スパイシーなハンバーグととてもよく合います。
そのままでもさっぱりと食べられますが、揚げハンバーグにするともうひと味、深みが加わります。
「これはまた食べたくなりますね」
「ご飯が進む味ですね」
続いてコロッケ。
ほっくほく。
「すっごく甘い。かぼちゃコロッケですか?」
「違います」
二連敗! 恥ずかしい~!!
色が白いから、違うかなとは思ったんですけど。
「ポテトコロッケなんですが、味付けに三温糖を使ってるんです。あとは、玉ねぎの甘みです」
これもまた地場産の玉ねぎを使っています。
さらに、地場産玉ねぎを使ったメニューがもう1つ。串カツです。
「食べごたえがありますね~」
肉の塊感ががっつりきます。肉の歯ごたえと柔らかさの加減が絶妙で、玉ねぎと和豚もちぶたの脂は相性抜群です。
そしてミートボール。
「大きいですね」
「このサイズはなかなか見ないですね」
和豚もちぶたは、デミグラスソースともよく合います。
「脂っこくないですけど、しっとりしてますね」
「和豚もちぶたは、脂がいいですよね。臭いがないし、しつこくない。
どんなお惣菜にしてもクセがなくて、おいしくできます。他の豚肉は食べられなくなっちゃいましたね」
お腹いっぱいになった記者二人の前に、追加の一皿が来ました。
「豚は捨てるところないですからね。これ、食べてみてください」
冷たくさっぱりして、酸味と辛味のバランスがとれたお惣菜は、お酒のつまみにおすすめです。
「食感がミミガーみたいですね。ちょっと柔らかくて、こりこりして」
「胃袋なんですよ。もつっていうと煮込みが多いですけど、こういうのもいいでしょう」
和豚もちぶたで、こんなにいろいろお惣菜が作れるんですね。
バリエーションがどんどん広がります。
おまけ
こしみずさんでは、常連のお客様がデザインした「I LOVE MEAT」Tシャツも販売しているのでした。
お肉の部位とギターをデザインした、キュートなTシャツです。
ギターとお肉に愛が溢れる、こしみずさんならではの1品ですね。