前回はまだ残暑の中向かった臼居芳美先生宅。
今回は、早くも晩秋を感じる11月某日、今年最後の「黄金のレシピ」を取材すべく先生のお宅を訪れました。
今回のレシピは「和豚もちぶたのローストポーク」。
ご家庭で作る方もわりと多いメニューですが、今回はぜひ腰をすえて作ってみたい、プロのレシピを伝授いただきます。
オーブンで焼き上げる「和豚もちぶたローストポーク」 一味違うプロのレシピを伝授
すでに香ばしい香りが立ち込める玄関をはいり、キッチンへと向かいます。じつは、このステップでスタッフ一同の「グルメスイッチ」が入るのです。
キッチンのテーブルでは、すでにすばらしいお料理が並び、湯気をたてていました。撮影のために朝早くから先生が作っておいてくれたものです。
生のお肉から改めて作り方を伝授していただく前に、目の前のお料理を放ってはおけません^^
まずはどんなお料理ができあがるかを先にご紹介!
まずは、片手のスキレットに鎮座して
ハーブをふんだんにまとい、こんがりローストされた和豚もちぶたの塊。今回の部位は「肩ロース」。柔らかく絶妙な風味が楽しめるお肉です。
脇に従えるのは、いい具合にローストされたジャガイモ・にんじん、秋の味覚さつまいも、なんとごぼうの姿も。
和豚もちぶたを取り囲むように、一つのスキレットの中でこんがり焼きあがっています。そのまま食卓に運んでもメインディッシュとしてかなりの存在感を示しそう。
何となく、秋のキャンプサイトでバーベキューを楽しみたくなるような、ワイルドなのにおしゃれな一品です。
つけあわせとして作っていただいたのは、
ターメリックで炊き上げた鮮やかな黄色のご飯。
それに、おいしそうな全粒粉のパンにはさんだサンドウィッチ。こちらもカフェで出てきそうなおしゃれな一品です。
ひととおり本日のメニューを視覚と嗅覚で楽しんで、
あとは食べるだけ!(^^)!
・・・となりそうな気持を抑え(笑)、
いよいよローストポークの調理にはいります。
味覚で楽しむのは、最後のお楽しみ(^u^)
本格ロースト料理を手軽に楽しむプロの技
まずはお肉の下ごしらえです。
今回の先生のテーマは「なるべく手間をかけない」。
それは、まずお肉を取り出すところから始まるのです。
ビニール袋にはいった和豚もちぶた・肩ロース500gの塊肉。
おもむろにビニール袋をはさみで切り開いた先生。お皿は使いません。
大きく広げたビニール袋に塩・コショウを均等に散らします。味がなじんでいくので「ちょっとだけ多いかな?」くらいが適量。
そのビニール袋でお肉を再び包み、手でもみ込むようにお肉に塩・コショウをなじませていきます。こうすることで手も食器も汚すことなく、まんべんなくお肉に塩コショウをまぶすことができます。ブロックの横の面にもちゃんとまぶせるので一石二鳥です。
塩コショウが終わったら、いっしよにローストする野菜を切り分けている間だけ、お肉を寝かせておきます。
お肉のロースト料理では、下ごしらえで一晩寝かせる場合も多いのですが、
先生のレシピでは一連の流れを止めずに、一気に完成できるようにアレンジされているところもうれしいポイント。
なるほど。
はりきってお料理をスタートしたからには、その日のうちに出来上がりを見たいですよね^^
じゃがいもは軽く水にさらしたあと乱切りに。
さつまいも・にんじんもゴロっとした乱切りにします。
ちなみに、材料を片手で持って90度ずつまわしながら切っていくのが「乱切り」です。
今回は今の時期おいしいごぼうも添えます。こちらも薄く切らずに大きめの乱切りに。ささがきのように薄いと、焼けすぎてしまうのです。
次にニンニクを切ります。こちらは直接お肉に「刺して」いくので、先がとがった形に切っておきます。
野菜の準備ができたら、先のとがったペティナイフなどでお肉に穴をあけ、先のとがったニンニクを差し込んでいきます。
ニンニクをお肉に差し込むのは、風味づけと同時に、塩コショウ・脂がお肉の内部に入っていく効果もあります。
そしてハーブを準備。今回はフレッシュローズマリーを用意しました。茎から葉の部分をはずし、みじん切りにしたらお肉によくなじませます。
ここでも食器は使わず、ペーパータオルの上での作業。
ちなみに最近のペーパータオルは強度があるので、ちょっとしたまな板にも早変わり。
材料の水分を吸収し、周りに散らかることもなく、終わったら捨てるだけ・・と、まさに「手間いらず」。
・・・気が付いたら、まだ食器は1度も登場していませんね(@@)
もちろん生のハーブがない場合はドライハーブでもOK。
いろいろな種類が出ているので、お好みでたっぷり使ってみてくださいね。
今回はタイム・マジョラム・オレガノ・ローズマリーのミックスされたドライハーブも使いました。
お肉の脂と混じって熱が加わるととてもよい香りが出ます。
続いてハーブをまとったお肉を、天板かスキレットの上に置いていきます。
塊のお肉を焼くときは、可能ならお肉の脂身の多い面を下にして焼くと、おいしい脂が全体になじみやすくなります。お肉の塊で、とくに脂身が多い面がある場合は、ぜひ試してみて下さいね。
このとき、深さがあり脂がすくいやすいスキレットはとても便利です。オイルを回しかけることで、お肉もお野菜も味がまんべんなくなじみ、こんがりとしたフライド状態に仕上がります。
回しかけが終わったらふたたびオーブンへ戻し、あと30分焼きあげたら出来上がりです!
ワンポイントアドバイス
-
中まで焼けているかどうか判断するには?
焼き上がりを判断する場合、竹串をさして赤く生っぽい肉汁がでなければOK、というやり方が一般的かと思いますが、プロの料理人がよく使うのは「竹串」ではなく「金串」。お肉に金串をさして10~20秒程度そのままにしておきます。こうすることでお肉内部の温度が金串に伝わるのです。
金串を抜いたら、手の柔らかい部分(指の股など)にあてて、金串が表面と同じくらい熱ければ火が通っている、ということになります。
やけどをしないように注意して、ぜひトライしてみて下さいね。
驚くほどの柔らかさと上品なハーブの香り
ローストポークを囲む、秋の食卓
さて、ローストポークが
おいしく焼きあがりました。
温かいうちにお肉の塊を切っていきましょう。この時、できれば脂身が伸びているのタテの方向に、お肉の繊維に沿って切り分けるようにすると口当たりがよくなります。ただし塊の大きさによっては切りにくい場合もあるので、まず半分くらいにわけてから薄切りにするなど、やりやすい方法でお試しくださいね。
温かいうちにお肉の塊を切っていきましょう。この時、できれば脂身が伸びているのタテの方向に、お肉の繊維に沿って切り分けるようにすると口当たりがよくなります。ただし塊の大きさによっては切りにくい場合もあるので、まず半分くらいにわけてから薄切りにするなど、やりやすい方法でお試しくださいね。
そして、ここからは楽しいアレンジ&試食の時間。
最初にご紹介した、ローストポークのサンドウィッチを作ります。この時のために、先生が全粒粉入りの山型食パンをホームベーカリーで焼いておいてくれました。こんがりとした焼き目がとても美味しそうです。
つづいて、付け合せに登場したターメリックライス。
お米3合に対してターメリック(粉)・オリーブオイルとも大さじ1杯。
炊飯器でふつうにお米をたくだけで、つやつやした照りと鮮やかな色合いのライスが炊き上がります。
ターメリック(ウコン)は肝臓にもよい、ヘルシーなご飯です♪
レーズンやアーモンドスライスを散らしてもいいですね。
今回のローストポークは、ほんのりとハーブが香るやさしい味付けなので、和風の調味料にもよく合います。わさび・醤油・一味唐辛子などをつけても、また違った味わいです。
一度冷蔵庫で冷やして薄めにカットすれば、ご飯にのせてチャーシュー丼のような食べ方も、箸休めやおせちの一品にもおいしい、応用シーンは限りなく広がるお料理です。
ローストポークを口に入れた瞬間、まずその柔らかさに驚きます。肩ロースは、赤身と脂身のバランスがよくきめの細かい部位で、ソテーなどにもよく使われる旨みの濃いお肉なのです。
もっちりとした柔らかい口当たり、ふわっと広がるやさしいハーブの香り、噛むたびに広がる和豚もちぶたの風味が、この一品で存分に楽しめます。
ローストポークはもちろんフライパンでも作ることができますが、お肉の柔らかさを最大限に引き出してジューシーに仕上げるには、ぜひオーブンで焼くことをおすすめします。
試食の時間、先生が参加された「婚活料理教室」の話題に。
初対面同志、はじめは緊張している参加者の皆さんも、料理が始まるとうってかわって和やかに会話が弾むそうです。料理がそんなコミュニケーションのきっかけになっていると思うと、何だかうれしいですね。
パーティーシーズンを迎えるこの時期、ぜひじっくりとトライしていただきたいおすすめレシピをご紹介しました。
スキレットのままテーブルに出せば存在感もバッチリ。
ちょっとしたパーティーのテーブルで、ワインやシャンパンと並んでいるのも絵になります。
せっかくなので、作るところからみんなでワイワイすすめる「料理パーティ」なんていうのも、案外楽しいかもしれませんね♪
分量のおさらい
- 豚肉(豚ロース肉・かたまり)・・・500g
- にんにく・・・3片X
- 粗塩小さじ・・・1/2
- こしょう・・・少々(あれば、粗びきの黒粒こしょう)
- オリーブオイル・・・大さじ4
- ローズマリーのみじん切り・・・大さじ1