かつてない暖冬とはいえ、朝晩はしっかり冷え込む真冬の宇都宮地方。おまけに空気も乾燥して、取材スタッフの周囲でも風邪をひく人が続出していました。
そんな1月某日、寒さも風邪も吹き飛ばすポカポカメニューを取材するべく、料理研究家・臼居芳美先生のお宅を訪れました。
今回のメニューは「白菜ミルフィーユ」。レシピサイト等でもよく目にするネーミングですね。
「ミルフィーユ」とは本来、何層にも重ねたパイ生地の間にクリームを挟んで層にして焼くフランス菓子のことですが、これがもとになって、肉・魚などを何層にも重ねた料理のことも「ミルフィーユ仕立て」などと呼ぶようになりました。
「白菜ミルフィーユ」は、白菜の葉と豚バラ肉を交互に重ね、鍋か蒸し煮で食べる、家庭料理の代表格。具材やスープでさまざまなアレンジが可能なので、白菜が旬を迎える冬の時期に食べたい人気のレシピですね。
皆さんも1度は食べたことがあるのではないでしょうか?
白菜ミルフィーユ冬に食べたい人気レシピをプロがアレンジ!
今回は、和豚もちぶたバラ肉を使って、
和風・洋風の2種類の白菜ミルフィーユを伝授いただきます。
白菜を使うのでやはり和食のイメージが強いですが、
臼居先生からはあらかじめ「リッチなミルフィーユ」も作る、との予告をいただいていました。
果たしてどんな白菜ミルフィーユが登場するのか、期待が高まります!
ミルフィーユを名乗るからには、まずは「層」が大切。白菜の葉の間に具材を挟み込んで、きれいな層を作っていくのが基本です
用意するのは、もちろん主役の和豚もちぶたと白菜。和風ミルフィーユでは、そこに加えてニンジン・カブの葉も用意します。
使う鍋は蓋のできるものを使いましょう。
使う具材も手順も少ないので、手軽に作れるレシピです。
味付けは、和風では塩こうじベース。バラ肉と塩こうじの組み合わせは美味しそうですね。
洋風では、何とカマンベールチーズを使うとのこと!白菜とカマンベールチーズ?!と、イメージがわかないままのスタッフ。
先生の説明はどんどん先に進みます・・・。
和風ミルフィーユの下ごしらえ
まずは和風のミルフィーユから。
ニンジン1本は皮をむき、ピーラーで薄く削いでいきます。
先生曰く、鍋にニンジンを入れるときは、このように切ると火の通りが早く食べやすいのでオススメとのこと。
見た目も、オレンジ色のリボンのようで華やかになります。ぜひお試しくださいね。
冬が旬の白菜は縦にザクッときり、4分の1にします。
白菜の葉をめくってバラ肉数枚を置き、上から塩こうじを塗り、その上からニンジンも数枚重ねて置きます。
白菜の葉1~2枚ごとに、材料をはさみこむ作業を繰り返します。
白菜の大きさにもよりますが、今回は6つほどの層ができました。これを3~4cm幅で横に切ります。
切ったものを層が崩れないように鍋に並べ、きれいなミルフィーユ状にします。
ならべられた鍋はとても色鮮やか!
「ミルフィーユ鍋」の名前は知っていても、なんとなく白菜とお肉を重ねて煮るんでしょ?と思っていたスタッフには、放射状にきれいに広がる層が新鮮でした!
「これがほんとうの白菜ミルフィーユか!!」と感激しきり。
洋風ミルフィーユの下ごしらえ
つづいて洋風のミルフィーユ。こちらはバラ肉だけを白菜に挟みます。この時点で味は付けませんが、鍋に並べるところまでは手順は一緒です。
ちなみにミルフィーユは、白菜を切って先に鍋に並べ、あとからお肉を挟み込んでもOKです。ご家庭で作るときは、やりやすい方法でお試しくださいね。
今回の洋風ミルフィーユでは、あとから挟み込む方法で層を作ってみました。
鍋に並べ終わったら、ここからがメインイベント。
真ん中にカマンベールチーズを丸ごと、ど~んと置きます!!
さらに色とりどりのミニトマトをあしらって、何ともかわいらしいビジュアルになりました。
お子様と一緒に作るのも楽しいかもしれませんよ♪
おまけアイテム
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オミジャ(五味子)茶
ミルフィーユが煮えるのを待つ間、風邪の季節におすすめ♪と先生が出してくれたのは韓国のお茶「オミジャ茶(五味子茶)」
「五味子」という木の実には5つの味が含まれていて(酸味・苦味・甘味・辛味・塩味) どの味を強く感じるかでその人の体調チェックができるそうです。 -
塩こうじ
一時大ブレイクした「塩麹」はブームが去っても健在。お湯と乾燥麹があれば家でも簡単に作れます。お肉には相性がよい調味料です。
ミルフィーユを加熱する旨味をひきだす15分間。蒸し煮で栄養もキープ
きれいに層ができたら、いよいよ加熱。蒸し煮にしていきます。
和風も洋風も、味付け以外は水分を加えないので、
白菜から出る水分がスープになる「蒸し煮」スタイルのミルフィーユです。
和風ミルフィーユ
日本酒を大さじ2~3杯振りかけ、鍋に蓋をしたら火にかけます。
最初は強火で、水分がでて沸騰してきたら蓋をして、弱火で15分程度加熱します。
洋風ミルフィーユ
コンソメや中華スープの素小さじ1杯程度、水または白ワイン80cc程度を振りかけたら、蓋をして火にかけます。
こちらも最初は強火、沸騰したら弱火で15分程度加熱します。
鍋を火にかけたら、あとから加えるパセリとカブの葉はみじん切りにしておきます。
およそ12~13分ほど加熱すると、どちらのミルフィーユも全体に火が通ってきます。
和風のほうは、一度蓋をあけ、みじんぎりにしたカブの葉を散らしておきます。
蓋を開けたとたん、どこか甘酒を思わせる、ほんのりとした塩こうじの香りが広がりました。
洋風のほうも蓋をあけてみると、カマンベールの塊が柔らかくなり、中身がとろとろに溶けている模様。
出来上がり
和風も洋風も、15分ほど蒸し煮して全体に火が通ったら出来上がりです。
洋風のほうは塩コショウで味を調整し、仕上げにパセリのみじん切りを散らします。
ミルフィーユを味わう白菜 + バラ肉 美味しさの化学反応
立ちのぼる香りも見た目も、まったく異なる2種類のミルフィーユができあがりました。
きれいな層はそのままに、加熱されてそれぞれの具材の風味がひとつにまとまっています。
和風ミルフィーユを味わう
口に入れると、ほんのりと塩こうじの香りがして、ちょうどよい塩加減です。
材料それぞれに味が染みていて美味しいのですが、白菜ミルフィーユを食べるときはなんといっても「お肉と白菜を同時に口に入れる」のが絶対オススメ!
バラ肉の甘みと白菜の甘みが互いに引き立てあい、とても贅沢な味わいが口の中に広がります。
コチュジャンをつけると、ピリ辛の刺激がいいアクセントになりますよ。
洋風ミルフィーユを味わう
気になっていた洋風のカマンベールチーズ味。カマンベールチーズの外側の皮を切り、とろとろに溶けた中身をソースとしてつけながら食べます。
あっさりとした白菜とバラ肉の旨味を、カマンベールの濃厚な香りが見事にまとめてあげています。
加熱されて味が濃くなったミニトマトを挟んで食べると、さらに心地よい酸味が加わります!いわゆる一般的な「白菜ミルフィーユ」とは、もはや全く別の料理。
濃厚なチーズフォンデュにきわめて近いのですが、白菜を使っているので後味は驚くほどさっぱり。
レシピを打ち合わせした段階で先生が「リッチなミルフィーユ」と言っていたのはこのことなのでした!
今回の主役の一つ「白菜」は、寒い時期に糖度が上がる野菜です。
寒気で枯れた外側の葉に包まれて、畑で出荷を待つ間に甘くなるのだそうです。
そして、バラ肉の濃厚な甘みと組み合わせると、まるで化学反応のように最高の風味が生まれます。
蒸し煮の方法で仕上げることで、栄養分が逃げずたくさん食べることができ、まさにいいことづくしのレシピです。
白菜ミルフィーユは、アレンジの自由度が高いのも魅力の一つ。今回は蒸し煮にしましたが、例えば豆乳を加えて豆乳ミルフィーユ鍋にするのもいいですね。
冬の無敵の組み合わせ「和豚もちぶたの白菜ミルフィーユ」、ぜひお試しくださいね♪
分量のおさらい
白菜のミルフィーユ・和風
- 白菜・・・・・・・・・・・・・1/4個
- 豚バラ肉スライス・・・・・・・300g
- ニンジン・・・・・・・・・・・1本
- カブの葉・・・・・・・・・・・1束分
- 塩こうじ・・・・・・・・・・・大さじ3
- 日本酒・・・・・・・・・・・・80cc
白菜のミルフィーユ・洋風
- 白菜・・・・・・・・・・・・・1/4個
- 豚バラ肉スライス・・・・・・・230g
- カマンベールチーズ・・・・・・1個
- ミニトマト・・・・・・・・・・10~15個
- コンソメスープの素・・・・・・大さじ1
- 白ワイン・・・・・・・・・・・80cc
- パセリ・・・・・・・・・・・・適量
- 黒コショー・・・・・・・・・・適量