年号が令和に変わり、10連休明けの某日、料理研究家・臼居芳美先生のお宅を訪ねたスタッフ。
持参したのは和豚もちぶた・もも肉のブロック。今日は、ピリ辛四川料理の定番「麻婆豆腐」を伝授いただきます。
麻婆豆腐をつくる①あえてブロック肉を使う
19世紀の中国四川省、町の食堂で出したメニューが人気を呼び広まったのが始まりという麻婆豆腐は、今や日本人でも知らない人はいないと言えるくらいポピュラーな中華料理となりました。
手軽に作れてヘルシーな豆腐料理ですが、おいしい辛さで食がすすむメニューでもあります♪
四川料理の刺激的な辛さが連休ボケを吹き飛ばしてくれることを期待しつつ、早速キッチンテーブルへ。
キッチンテーブルに並ぶのは、香味野菜や様々な香辛料。
そして木綿豆腐と絹ごし豆腐。
主役は、脂身と赤身のコントラストが美しい和豚もちぶたのもも肉。今回はひき肉ではなく、あえてブロック肉から作ります。豆腐料理であると同時に「お肉を食べる中華」として、和豚もちぶた流の麻婆豆腐を仕上げていきます。
ちなみに先生曰く、中国では「ひき肉」はあまり売っていないとのこと。お肉を細かくする場合も、中華包丁を使って自分で切り分ける場合が多いそうです。
そう言いながら先生がキッチンの引き出しから出してくれた中華包丁は、大きくてしっかりと重みがある長方形。
日本の菜切り包丁とも似ているのですが、よく見ると完全な長方形ではなく、刃に微妙なカーブがついています。
肉を切り分けるのはもちろん、野菜の千切り、材料をつぶす、骨を切るなど、ほとんどの作業をこれ一本でできるとか。まさに万能包丁ですね。
もも肉を、まず半分にわけ、半分は5mm角程度の粗びき状態に。まず細長く切り分け、そのあと5mm角ほどに細かく刻んでいきます。
あと半分はフードプロセッサーで細かくします。脂身が多めの部分だったのできれいなピンク色に仕上がりました。細かくしすぎて粘りけがでない程度にします。
麻婆豆腐をつくる②本格四川の香りを出す
香味野菜は長ネギ・ショウガ・ニンニク。いずれもみじん切りにしていきます。
まずはニンニク。今回先生が用意してくれたのは「スプラウトにんにく」という種類です。
一見普通のニンニクですが、きれいな緑の芽が伸びており、これも「ニンニクの芽」として食べられるので、まるごと食べられるニンニクとして最近人気なのだそうです。しかも普通のニンニクよりも栄養価が高いスグレモノ。
ちなみに、普通のニンニクを放っておくと芽が出てしまう場合がありますが、これは別物なのでご注意ください。苦いので普通のニンニクの芽は食べないようにしてくださいね。
ショウガは、固い部分などを取り除き、皮付きのまま薄切りにすると良い香りが失われません。
薄切りのあと千切り→みじん切りの順番で切っていくと、きれいなみじん切りができますよ。
つづいて長ネギのみじんぎり。葉と根の部分は切り離さずに、胴の真ん中にだけ包丁を入れ、細い切れ目をたくさん入れていきます。
根の部分だけを切り離し、普通に輪切りにしていくと、細かいみじん切りがどんどん出来ていきます。
片方の端が繋がっているので、切る間に崩れたり散らかったりせず、手軽にみじん切りができますよ。ぜひお試しください♪
材料をすべて切り終わったら、さっそくフライパンを火にかけてお肉を炒めていきます。
以降、包丁で切ったお肉とフードプロセッサーを使ったお肉をスピーディーに調理していきます。
フライパンが焦げつきやすい場合は適宜油をひいてください。また、火加減は終始強火ですが、焦げつきそうなら調整してみてくださいね。
お肉の脂が溶け出てきたところで、まず甜面醤・豆板醤を投入。
甜面醤は中国の甘辛味噌。八丁味噌でも代用できますが、その場合は少し甘みを足したほうがいいかもしれません。
二つの「醤」を加えたら、刻んでおいた香味野菜も投入。炒めるというよりも材料に味をつけるようなつもりで、まんべんなく混ぜていきましょう。
麻婆豆腐をつくる③厚なトロミで味をしっかり閉じ込める
お肉から出た脂が豆板醤で赤く色づき、いかにも中華といった雰囲気になってきたら、いよいよ豆腐を投入。
ちなみに先生が習った中華料理の大家の先生曰く、豆腐は水切りをあまり気にしなくてもよい、とのこと。理由は、豆腐から出る水分には大豆の旨味が出ているから、だそうです。なるほど納得!
木綿豆腐は2cm程度の角切りに、絹ごしはおたまでザックリすくってフライパンに投入。お豆腐が大きいようなら、しゃもじなどで崩して味が絡みやすくしておきます。よく見る角切りのお豆腐もいいですが、おぼろ豆腐的にざっくりと崩したほうがプロっぽい雰囲気ですね。
お豆腐を煮込んだら鶏ガラスープを投入。昆布のだしや昆布茶などを隠し味として加えると、まろやかさやコクが出ますよ。つづいてお酒大匙1を投入。紹興酒か老酒を使います。つづいて醤油大匙1.5・砂糖小さじ2・コショウ少々を加えます。
一通り材料を投入したら、そのままよく煮込み、お豆腐によく味を染み込ませます。ぐつぐつ煮えているお肉は、ちゃんとひとつひとつ存在感があります。砂糖も加えているので美味しそうな照りも出てきました。
材料に味がよく染み込んできたら、水溶き片栗粉を少しずつ加えていきます。片栗粉を加えた後は、しゃもじで道ができるくらいにトロミがつくまで、しっかりと煮込んでいきます。
日頃食べている麻婆豆腐よりも少し固めな印象。その分香りも濃厚です。キッチン中に香ばしい中華の香りが広がっています。
しっかり煮あがったら火を止め、仕上げにごま油を回しかけて出来上がり。ラー油はお好みでどうぞ。
麻婆豆腐を味わう肉料理としての本格四川
おしゃれな中華柄の器にたっぷりと盛り付けた麻婆豆腐。食べる前に、ネギのみじん切りとパクチーを散らし、本格四川料理には欠かせない「花椒(ホワジャオ)」を細かく砕いたものをかけ、香りとしびれる辛さをプラスします。
そして麻婆豆腐は何といってもご飯で食べるのが一番。あつあつの白いご飯にのせていただきます。
今回あえてブロックから切りわけたお肉の食感は、市販のひき肉の口当たりとはまるで違いました。フードプロセッサーを使ったほうは若干口当たりが滑らかになりますが、いずれのタイプも、ひき肉のようなポロポロ感は全くありません。食感はまさに肉料理。
噛みしめるたびに和豚もちぶたの風味を味わえ「お肉を食べている」満足感を楽しめます。先生とスタッフの結論は、もっとお肉感が出るように、大きめに切ってもいいかも♪でした。
口に入れるとまず花椒のさわやかな香りを感じ、刺激的な辛さを感じ、噛むたびに豆板醤・甜面醤のコクで奥行きのある味が広がります。ふだん食べているものよりも強めのとろみが、食材すべてをしっかりまとめ、よく味が染みた濃厚な味わいです。
味付けの調整としては、辛さを強めにしたい場合は豆板醤を多めに入れます。甘みをつけたい場合は、甜面醤か砂糖の量を調整してください。
しっかり粗びき感のある手切りのお肉と、少しなめらかな口当たりのフードプロセッサーを使ったお肉。どちらも和豚もちぶたの旨味を最大限に味わえる麻婆豆腐になりました。
「麻」「辣」「醤」の絶妙なバランスで、スタッフの連休ボケの頭もスッキリ。やっと夏に向けての準備が整ったのでした^^
分量のおさらい
麻婆豆腐
- 豚肉・・・・150g ※上記レシピ内写真は150g×2の分量です
- 豆腐・・・・1丁
- ニンニク・・大さじ1
- しょうが・・大さじ1
- 長ネギ・・・1/2本
- 甜面醤・・・大さじ1+1/2
- 豆板醤・・・大さじ1+1/2
- スープ・・・1カップ (水200mlに鶏ガラスープの素小さじ1+昆布だし少々)
- 酒・・・・・大さじ1 (あれば紹興酒か老酒)
- 砂糖・・・・小さじ2
- コショウ・・少々
- 水溶き片栗粉 (片栗粉大さじ2+水大さじ2)
- ごま油・・・小さじ1 ※ラー油はお好みで